本文へ移動

西いなば気楽里通信

西いなば気楽里通信R2.12月号

今月の特集

シリーズ「西いなば探訪」①~大杓子から落ちた鷲峰山の"てっぺん"~建 山(青谷町田原谷)
切り絵/紙原四郎さん
  「鷲峰山と大山の背くらべ」
  ずっと、ずっと昔のことです。因幡の国で一番高い「鷲峰山」と伯耆の国で一番高い「大山」とが、おたがいに自分の方が背が高いといいあらそっていました。「やい鷲峰山。お前がいくらいばっても、おれの方が背が高いんだぞ。」と大山がいいますと鷲峰山も負けてはいません。「何を言うんだ。高いのはおれの方だ。」と、いつもいいあらそっていました。このけんかは激しくなるばかりで、いつまでたっても終わりそうにありません。とうとう神様にお願いして、どちらの山の背が高いのか決めていただくことになりました。
  神様は、鷲峰山のてっぺんと大山のてっぺんに長い長い樋をおかけになり、その真ん中に水を注がれました。さあ勝負です。低い方に水は流れるはずです。みんなが目をこらして見つめるなか水はみんな西の方、大山の方に流れていきます。鷲峰山が勝ったのです。鷲峰山の背が大山より高かったのです。
 背くらべに勝った鷲峰山は、よろこんでみんなとお祝いのお酒をのみ、ぐっすり 眠ってしまいました。負けた大山はくやしくてたまりません。鷲峰山がよく眠っているのをたしかめて、大きな杓子で鷲峰山のてっぺんを大きくすくって逃げだしました。てっぺんをすくいとられた鷲峰山は驚いて目を覚まし、目をこらすと大山が大きな杓子に鷲峰山のてっぺんをのせたまま逃げていく姿が見えました。鷲峰山は大きな大きな声で「こらー、どろぼー!!」とどなりました。あまりの大声にびっくりした大山は、持っていた鷲峰山のてっぺんを落としてしまいました。しかしてっぺんをすくい取られた鷲峰山は、これから大山より背が低くなってしまいました。(新訂郷土読本「わたくしたちの鹿野」より)  
建山 / たてやま
かちべ伝承館から眺めた建山 
鷲峰山のどなり声に驚いた大山は、びっくりして大杓子ですくい取った鷲峰山の"てっぺん"を落としてしまいました。そうしてできた山が"建山"だといわれています。いまでも鷲峰山の山頂は、建山を乗せると丁度良いほど平らになっています。
あおやガイドマップ(青谷町観光協会)より
☆背くらべにまつわるお話し☆
狆と川藻(ウダ)
 逃げる大山を追いかけようと河内川に足を踏み入れた鷲峰山は、ズキッと足に痛みを感じてすくんでしまいました。見ると足の裏にニイナァが突き刺さっています。歯をかみしめて痛さをこらえていると、いつもかわいがっている狆(チン)が、川藻(ウダ)をくわえてすり寄ってきました。この川藻(ウダ)を傷口にもんでつけると、出血もとまりうずきもおさまりました。
河内川のニイナア
 大山を追いかけようとした鷲峰山の足の裏にささったニイナアは、この罰があたって一番先のとがったところがなくなっているのだそうです。河内川で確かめてみてください。
鷲峰神社の狛犬
時を告げなかったニワトリ
 鷲峰山のてっぺんがすくい取られた朝、辺りの村のニワトリは「コケコッコー」と毎朝の時を告げませんでした。「おまえが時を告げないから目が覚めなかったのだ!」と鷲峰山が怒ってしまいました。このため、辺りの村では、長い間ニワトリを飼うこともせず、たまごも食べませんでした。このタブーをおかすと"はらにがり"が起こり苦しんだそうです。
 
 
ちょっと一休み・・・
鷲峰神社(鹿野町鷲峰)の狛犬
 鷲峰神社(鹿野町鷲峰)の狛犬をご覧になったことがありますか?
 いつも見かける獅子型の狛犬ではなく、ふっくらと丸みをおびた優しい顔立ちをしています。建山神社などの狛犬と同様、西いなばの名石工川六の手によるものです。
 一説によると祭神の大国主命が「イノシシを捕まえる」と欺かれたことから、獅子を避けたためとも伝わっていますが、鷲峰山がかわいがった狆(チン)をモデルにしたのかもしれませんね。
 
 
建山神社~樹齢500年の大木と一直線に上る急な石段~
建山神社の参道石段
  建山さんと呼ばれる建山神社は推古天皇12(608)年に現在の場所に勧請されたと伝えられています。 
 鳥居をくぐると、川六作の狛犬と樹齢約500年の杉の大木が迎えてくれます。
 大杉に挟まれた急こう配の石段は、なんと171段。一直線に社殿へと上っていきます。
 
【データ】
【祭神】須佐之男命 正勝山祇命   彦火火出見命
【由緒】妙見社と称したが明治元年に建山神社と改称。大正5年には紙屋神社を合祀。
 
建山神社の拝殿
鳥取西いなばまちづくり株式会社
〒689-0422
鳥取県鳥取市鹿野町岡木280-3
TEL.0857-82-3178
FAX.0857-82-4178